消防機器の品質を証明する米国の規格です。
米国では工場や建物で働く人たちが安全に仕事ができるようにするための法律である労働安全衛生法(OSHA)がありますが、消防用機器の仕様については詳細な基準は規定していません。
代わりに、認定試験機関である民間企業FM Approvals社が規定するFM規格(Factory Mutual Standards)を参照することになっています。
米国政府から認定を受けた民間の試験機関です。
全米認証試験機関(NRTL)に登録されており、1世紀以上にわたり第三者試験・認証サービス機関として、主に商業施設や工業施設で使用される消防機器・サービスに対して厳格なテストを実施しています。
高い基準を満たした製品にはFMマークが付与されます。米国内では大企業の多くがFM規格適合品を採用しています。
※FM Approvals社は損害保険会社FM Global社のグループ会社です。
FM Approvalsでは最先端の設備や試験施設を用いて、消防機器に合わせた極めて厳格な試験を実施しています。
取得まで数ヶ月~1年程度かかることが一般的で、コストも高額です。
適合製品に付与されるFMマークは、品質、技術、性能で優れた基準を満たしていることの証明です。
FM規格に適合する耐火キャビネットは、構造・性能共に様々な要件を満たしたものでなければなりません。
● 厚み18ゲージ(約1mm)のスチール板で造られてあり、また2重構造であること。
● 側面、上壁、扉において、内側と外側の2枚のスチール板の間に1.5インチ(約38mm)以上の空間を設けること。
● 扉の施錠が可能で、火花が散らないこと。
● 扉の3か所にラッチがあり、しっかり閉まる仕組みであること。
● 庫内で漏れた液体を一時的にためることができる、深さ2インチ(約51mm)のサンプ機能があること。
● 外側からアースを取れる構造であること。
● 最大保管容量まで積載し、72時間状態を維持しなければならない。
● 10分間の耐火試験を実施し、試験中はキャビネット内部の空気温度は325℉(163℃)を超えてはならない。またすべての接合部、継ぎ目、扉は試験中および試験後も安全に保持されていなければならない。
● 最低100回の扉開閉試験を行い、閉じない、またはラッチがかからない不具合があってはならない。
● サンプに2インチまで液体を満たして24時間維持し、漏れがあってはならない。
世界的に認められたFM規格品を使用することは、日本国内においても大きなメリットがあります。
● FM規格は米国が認める防火製品の品質基準です。
● FMマークは民間機関FM Approvals社が規定する厳しい試験に合格した製品に付与されます。
● 規格に適合した後も、定期的に製造設備の監査が実施されます。
● FM規格品を使用することで火災のリスクを軽減することができるほか、防火意識の高さを国際的に示すことができます。
FM規格とは? 外資系企業が知っておくべき防火安全基準を徹底解説【PDF】